歩み

旅と喫茶と、時々、エイト

【備忘録】ちょっとムカつくけど絶妙に憎めない美容師のお姉さん

このはてなブログは、初対面でいきなり距離を詰められるのが苦手な芋女子大生が、グイグイ系の美容師に1時間で心の扉を開いたノンフィクションである___



私…「」
お姉さん…『』
心の声…((()))



「こんにち___」
『いらっしゃいますぅぃえー!!⤴️』


『お姉さん初めてですよねぇ~、あっホットペッパービューティーですねぇ、お掛けになってお待ちくださぁ~い!』


(((うわっっっ陽キャだ)))


『どぉぞぉ!こちら雑誌になりまぁす』


(((ずいぶん長いな…それにしても受け付けの人、前のお客さんとすんげえ喋ってるじゃん、もしかして私の担当この人?)))



『お待たせしましてぃぇあ~⤴️(語尾がkemioさん)今日どんな感じにしますぅ?』


(((胃もたれの気配…🤦)))


「いま毛先だけオレンジに染めてるのを丸ごと切って___」

『えーーーそれ切っちゃうの🥺すっごいかぁいいのにもったいなぁーーい』


(((否定から入るタイプ!?タメ口スタートの人苦手なんだよなぁ)))


「いや実は就職先の内定式があって」
『あーそりゃダメだね』
「まぁ名残惜しいんですけどしょうがないよなーっていう」
『そうだよねーwwwまじかー』


(((嗚呼、波長が合わない人種かもしれん…)))


『じゃあシャンプーしまぁす、こっちどうぞ~はい倒れまぁーす』
ウィィィィィィィィン
『ねぇ就職先ってどういうジャンルなんですかぁ?』


(((シャンプー中に『かゆい所ありますか?』以外の話題あるんだ)))


「(横になりながら)○○系の会社でー、職種は××系でー、」
『うんうんうんうんうーーーん』


(((相槌腹立つな…)))


「就職先が北海道なので、明日飛行機乗って内定式に出るんです」
『えーーーいいなぁ北海道ぉ!!私一回だけ行ったことある小樽とか旭川らへん!流しまーす』


(((かゆい所聞かんのかい!ないけど)))
※お姉さんシャンプーの間も一生喋ってた、もしかして口から生まれた?


『じゃあオレンジ切って長さ揃えていきますねー🍊』
「え、お姉さんは元々美容師志望だったんですか?(気を遣うあまり苦手な人にも自らトークを進める悪癖)」


『と思うじゃん?でもねー私ほんとは美大に行きたかったの』
「おっ(唐突な関心)」
『でぇお兄ちゃんに相談したらぁ、お前は頭が足りないから無理だって言われてさ』
「なるほど」
『お姉ちゃんが美容師やっててさ、別に自分で生計立てられたらいっかーって感じで、私も美容師になろっかなーって』
「へぇー」

『大変そうなお姉ちゃんの姿見てきた親からは反対されたけど、別にいいじゃん私の人生なんだから』
「うんうんうん」
『だからぁもぉ今までの人生全部ノリ?みたいなー』
「ウフフフフ(渾身の愛想笑い)」

『でもねーここまでの人生わりと上手くいってるし、ノリで生きるのも案外悪くないと思うよ』
「確かになー、でも人間追い込まれた方が実力発揮するって言いますもんね、火事場の馬鹿力的な」
『kajibano…?なにそれー!』
「(面倒なので)あっ何でもないですー」


(((エピソードトークが面白いウェイ、初めて出会った気がする)))


『お姉さん北海道の人って言ったじゃんか、私千葉の田舎出身でさ』
「千葉なんですね」
『そー、山が近いから、ヘビとかタヌキとかよく出たんだよね』
「あっっ私も学校の裏でヘビ見たことありますよ!」
『えーーー仲間じゃん!(^^)』


(((まさかの意気投合!!?)))


「小中高ぜんぶ学校の隣に森があったんですけど、小学生のころ大きいヘビが職員室に入り込んで一斉下校になったことあります。キツネとリスはよく出る」
『はぁぁぁんリスいーいーなー!かーぁーいーいー!!』


(((前言撤回、やっぱイラッとするわこの人)))


『えっ超うらやましいんだが?マジでタヌキとイノシシしか出ないからさー、病気持ってるくせにすっごいうんこくさいのね』


(((美容室で「うんこ」って聞いたことないぞ)))


『しかもイノシシなんて畑の野菜食い散らかすしさーマジ迷惑!リス見たかったぁ』
「メルヘンですよね」
『それー!メルヘンじゃんルンルンじゃんそんなの』


(((年齢も価値観もまったく違うのに、こんなに気さくに話してくれる人なかなかいないのでは?)))


『長さこんな感じで~す、大丈夫そ?』
「うわ丁度いいっすね、すっきりしました」
『よかった~じゃ毛先巻いてってあげるよ』
「え、いいの?(ナチュラルなタメ口)」



『ていうかさー、田舎の人って結婚早いじゃん』
「わかります、高校卒業と同時に結婚した子持ちの同級生います」
『ねー、でもお姉さん見た感じ奥手そうだよね』


(((ここに来てルッキズム!?)))


『田舎の方がサイクル早いのはどこも一緒なのかもねー』
「大卒の就活経験者はキャリアアップがあるし産休・育休も取りにくいから、人生設計が難しくてプライベートの幸せが後回しになるのかも」
『あーね(華麗なる流し)、そういう人見てるとさー、私これからどうなんのっていうかー、なんかズボラなリカちゃんのYouTubeみたいになってんの私生活が』
「あっそれチャンネル登録してます!」
『笑ったwww気が合うーwwwww』

youtu.be
「あれ小道具とかどうやって作ってるんですかね」
『それなー?一番びっくりしたのがさー、居酒屋によくある世界一周旅行のポスターをね、リカちゃんサイズで作ってたのぉ!もぉすごーい!って感じ』
「へぇ、うーん写真かデータを取り込んで縮小コピーしてるのかもしれないですね、憶測ですけど」
『わぁなるほどぉ!確かにワンあるわぁ』


(((「一理ある」のウェイ用法…)))
※田舎あるあると学生時代の話に花が咲き乱れ、まさに「草超えて森超えてモーリーファンタジー」状態でしたが、いくらなんでも長すぎるのでブログでは割愛します。たまごっちとムシキングラブandベリーとローランドのYoutubeの話をするなど(なぜ?)。


『はーい今日は終わりでぇす、かぁいいでぇーす似合ってまぁーす(流れ作業)
「ありがとうございましたぁ(伝染)」
『ポイントカード作っちゃおっかー!来年まで東京ならまた来るかもしれないし』


(((断るスキを与えない上級者の接客…!)))


『今日はありがとうございましたぁ💗またお待ちしてま~す、スッッッ……



ん???



私は見逃さなかった。
エレベーターが閉まる直前、底抜けに明るかったお姉さんの一瞬の真顔を。心の奥の奥まで見透かされているような眼光を。
お姉さん。私と一緒で、できる限り本性を隠したいタイプじゃないですか?さてはあなたこそ、気を遣って無理しがちなタイプじゃないですか?



エレベーターの扉と同時に、私が心の扉を開いたと同時に、お姉さんは心の扉を閉ざしました。



お姉さん、世渡り上手な人だ。
ひとたび外に出た暁には、溢れ出る人間味の虜。またここを訪れようじゃないかと心に誓いました。何なら指名してやろうか。



あ、名前聞けばよかった。